[自由]自由とは何か

 自由とは、「本当にしたいことができること」であると考える。この定義に従うと、人間は、「したいことをしている」と表面的に思っていても、「“本当に”したいこと」はできていないことがある、ということになる。
 この定義に見出される問題点は、“本当”とはどういうことかを言うのが難しいところである。ある人がしたいと思ってしていることが、実は“本当”にはしたくないことだということを、誰がどうやって指摘することができるのか説明することは容易ではない。
 しかし、ある行為をしたくないと思いつつもしてしまうというのは誰にも経験があることだ。タバコをやめたいけどやめられない、酒をやめたいけどやめられない、ゲームをやめたいけどやめられない、誰かの陰口ばかり言うのをやめたいけどやめられない、など、少なくとも表面的にしたいと思ってしていることを、もっと根本のところではしたくないと思っている場合は多くある。
「したくないことをしない」ことを、「“本当に”したい」の内に含めることもできるのなら、これで最初の定義の説得力をある程度持たせることができる。しかし、積極的に活動する行為までをも含まなければならないとすると、そのときの“本当に”したいことを客観的に述べることは難しい。
 人が何かをしたいと思うことについてさらに考えることにする。