2007-01-01から1年間の記事一覧

『寄生獣』について

精神医学の用語に〈移行対象〉というのがあるらしい。小さな子どもが母親のもとを離れて厳しい現実に向かい合っていく過程で、精神のよりどころにする物や人のことを指すらしい。具体的にはスヌーピーの話に登場するライナスがいつも持っている毛布がその一…

それはレイプである/ではない

最近、私の知り合いの女性二人がそれぞれ男性とセックスした。それについて私はそのセックスをレイプとみるべきかそうでないのか、少し考えている。 二人は車に乗せられてラブホテルに連れて行かれたが、聞くところによると彼女たちはラブホテルに連れて行か…

ワンステップリードロールモデル(OSLRM)

最近、人の成長について私が面白いと思っているのは「一歩先を行く人物からの影響」というものである。これは「偉大な指導者からの影響」ではないところがポイントである。自分が進んでいる道に関して、自分よりちょっとだけ先輩である人物の振舞いやあるい…

フロイトと発生学

フロイトの『精神分析入門』を読んでいたら、発生学者ルーの名前が出てきて「お?」と思う。 ルーの実験は高校の生物の教科書にも出てくるもので、発生中のカエル胚の割球の半分を熱した針で刺して破壊したらその後の発生がうまくいかなかったという実験だ。…

政治活動と信仰

ここでいう信仰はキリスト教的な信仰のことだけれども、政治的活動を通して自分たちの信仰内容を一般的に認めさせようという活動はいったいなんなんだろうな、ということを時々考える。 だいたい、信仰を持つというのはこの世の中のものに重要な価値を見出さ…

冷徹と人情の間、みたいな

最近鑑賞したいくつかの作品がどれも似たような軸を持っているような気がしたのでメモしておく。 作品のタイトルはアニメ『DARKER THAN BLCK』、まんが『LIAR GAME』、あー、あと他になんかあったんだけど忘れてしまったっ。なんてこったい! まあいい。タイ…

最近の子どもは親に対して……?

きょうの昼頃に、24年間だったか、小学校の教員をされている方の話を聞く機会があった。まあ、一般的によく言われるような感じの、「最近の子どもはこれこれで難しい」という話を聞いたんだけれども、彼によると、最近の子どもたちは親が自分にお金をくれて…

一神教と多神教

一神教と多神教を比較すると、多神教のほうが多様性を認めてて寛容で良い、というステロタイプな言説がある。私はこれ、なんだか胡散臭いとずっと思ってる。 多神教的な世界観の中に一神教的な神様を受け入れる余地はない。つまり、「多神教のほうが多様性を…

『Darker Than Black』について

アニメの『Darker Than Black』(以下DTB)を一通り見終わったので感想を書いてみようか。 DTBの全体的なテーマは異質な他者との共生である。〈契約者〉と呼ばれる特殊な能力を持った人々がその「異質な他者」として象徴的に表現されており、それに対する一…

世間の風よ今はどこに?

いやー、もう最近の世の中の動向には全然ついていけない。 総理大臣はいつの間に福田さんになったんだ? アニメの自主規制? そりゃ表現の自由的にやばそうだが具体的なことは知らんわー。 ていうか今枝弁護士って誰だ! 昨日ずっと2巻で止まってた『ポーの…

[自由]自由とは何か

自由とは、「本当にしたいことができること」であると考える。この定義に従うと、人間は、「したいことをしている」と表面的に思っていても、「“本当に”したいこと」はできていないことがある、ということになる。 この定義に見出される問題点は、“本当”とは…

手斧で娘が父親を殺したという事件

この件でアニメ『ひぐらしのなく頃に解』と『School Days』が放送中止になったそうだ。『School Days』は知らないが『ひぐらし』のほうは楽しみにしていたので非常に残念だ。中止になったことには納得がいかない。分かりやすい悪影響論を何の疑いもなく適用…

『ホットロード』について

ホットロードがヤンキーまんがだから嫌い、という話を読んで考えたことをちょっと書く。 確かに『ホットロード』はヤンキーの世界が主な舞台だし、そこに幻想があるのもその通りだろう。しかし『ホットロード』がヤンキーの世界を肯定する作品かというと必ず…

おもしろ先端研究プロジェクト動画紹介

『おれがあいつであいつがおれで』の感想に行き詰まってしまったので、いったん凍結。 先端科学の研究プロジェクトの成果をそれぞれ20〜30分くらいにまとめた動画の置いてあるサイトを見つけたので紹介します。・「ERATO研究成果ビデオ」映像のストリーミン…

山中恒『おれがあいつであいつがおれで』を読む

この作品の枠組 思春期、と呼ばれる時期がある。大辞林によれば「第二次性徴が現れ、生殖が可能となって、精神的にも大きな変化の現れる時期。ふつう12歳から17歳ごろまで」がそれに当たる。 山中恒の作品『おれがあいつであいつがおれで』はまさに思春期の…

疑似科学批判に感じる余裕のなさ

これは大塚英志が吉本隆明との対談『だいたいで、いいじゃない。』の中で表明していたことだが、少し前までは宇宙人と交信できるとか電波なことを言う人は面白がるネタの対象だったはずなのに、最近は必死になって論破することに力が注がれている、これはな…

『「丸山真男」をひっぱたきたい』について

赤木智弘の論文『「丸山真男」をひっぱたきたい』を読んだのでそれについて思ったことをメモしておく。 この論文の依存する文脈 赤木は、この論文のタイトルに「丸山真男」という象徴的な名前をカッコつきで入れており、そしてそれに「ひっぱたきたい」と繋…

モテ・非モテというカテゴリーが浮上したのはなぜか

モテ・非モテというカテゴリーが最近広まっているらしい。僕自身はこの手の話題にはまったく関心がなかったのだが、モテ・非モテというカテゴリーがもてはやされる原因についてこんなことかもしれない、と思うところがあるので少し書いてみようと思う。 モテ…

ある種の行為における責任の領域

僕は前から少年犯罪に興味があるのだが、以前は少年法を原則的に維持していくべきだと考えていた。けれども、最近は厳罰化もやむなしかもしれないと思い始めている。ただ、そのための条件として、こどもが小さいうちから自分の行為に対してきちんと責任を取…