2008-01-01から1年間の記事一覧

霊とたましいとからだの区別についてのメモ

聖書は、人間が霊とたましいとからだを持つことを示している。しかしこれら3つの区別や互いの関係がどうなっているのかを読み取るのは大いに困難な作業である。感覚的には、霊とたましいは区別がつきにくいが、からだは他の二つとの違いが明確であるように…

イメージの制約について

斎藤環さんの『生き延びるためのラカン』を読んでいて面白かったことの一つに、空想の生き物が皆、既存の動物のパーツの組み合わせであって、完全オリジナルなイメージでは造形されないというのがあった。 それで私が思い出したのがフライングスパゲティモン…

カマキリの卵ノウの高さと最大積雪深の相関について

先日紹介した『カマキリは大雪を知っていた』の酒井さんの研究だが、これを疑似科学ではないかと批判する声があるようだ。なかなか面白い教材だと思うので考えてみたい。 批判の内容を分類すると次のようなものがある。1.大地の振動とかありえねー→トンデモ…

雑記

伊勢田哲治さんが読書予定リストに浮上。科哲的な話なら池内さんみたいな素人の話よりはまともなことを言ってそうだ。『科学哲学の冒険』の内容について議論があるらしいけど、『RATIO』を今からそろえるのはちょっと……。 立岩真也さんがにわかに読書予定リ…

池内了『疑似科学入門』(岩波新書)読み始めた

id:chazukeさんに読むと言ってしまった手前、読まないわけにはいかない。まだ1章の途中なのにかなりメモが多くなってしまった。 「心のゆらぎ」とは? 池内さんによると、非合理に惹かれるすべての根源は「心のゆらぎ」にあるのだという。そしてそれを後押し…

疑似科学もろもろ

id:NATROMさんのところで進化論と創造論の話を少し読む。出だしを読み始めたときは「いやだな、やっぱり創造論をこばかにしてやり込めるのかな」と思っていたのだけれど、読み進めたらそうではなかった。正しいことを言っているにせよ、なにかバカにすること…

疑似科学関連のメモをまた

性懲りもなく書いておきましょう。疑似科学批判というのを一枚岩で考えてはいけないのかな、という気がしたので、もう少し論点をきちんと腑分けして考察しようと思います。暫定的に、いくつかの疑似科学批判言説の類型をピックアップしましょう。1.科学的…

なんで取税人や遊女の方が先に神の国に入るのか

それは、申し開きしようがないからでしょうね。あんた罪人でしょ、って言われたら、「はいそうです」って答えるしかない。あからさまな罪人だから罪の自覚までの距離が短い。だから悔い改めまでの距離も短い。 誤解してはいけないのは、取税人が罪人としてよ…

魚喃キリコと成熟

魚喃キリコの『blue』は2人の少女、桐島と遠藤が主人公のまんがである。同性愛的な青春の一コマが描かれ、卒業と同時に桐島が上京、遠藤が地元に残り、2人の関係が終わることで結末を迎える。 このような、2人の少女がある期間親密な関係を持ち、その関係…

おたく的なものと女性化願望

森岡正博さんの『感じない男』には、「自分が少女の体に乗り移りたい」という願望が記されている。私は大学時代、(たぶん森岡さんの話を知らなかった時だとと思うが)研究室の人間に、「自分には女性になりたいという願望があるんじゃないかと思う。そして…

『レヴィ=ストロース入門』を読んだ

文化人類学者小田亮さんの本。 この本を読みながら、これは疑似科学問題にも応用できないかなあということを考えた。合理/非合理の二項対立の枠をはずして考えた方が面白いんじゃないかな、きっと。と思ったけど、そういえばすでに『呪術化するモダニティ』…

自分を消したい

自分を消したいんだろうな、自分は。やっぱり。 最高に輝く結節点になりたい。 追記: あれ、なんだか、昔もそっくり同じことを言っていた気がする。

冲方丁作品のキャラクターはなぜ(敢えて)記号的なのか

最近、冲方丁作品のキャラクターが記号的だという意見に対して、それはわざと記号的にしているのだというやり取りを見かけた。私には、わざとやっているのかどうかについて明確な判断は下せない。しかし、彼の作品は、キャラクターが非常に記号的であること…

母と私、あるいはロリコンと私

ここで言うロリコンはペドファイルとは異なる。森岡正博の『感じない男』に準じた意味で使う。 『感じない男』は私にとって非常に衝撃的というか、私の欲望というのは確かにそのようなものかもしれないという考察への糸口を与えてくれたすごい本である。 い…

後藤和智さんについて少し

私は、最初後藤さんが出てきたときに、なかなかいいことを言う若い人が出てきてくれたではないか、と思っていた。しかし、そうした同族意識にも似た感情は長くは続かなかった。というのは、彼の最終的にやろうとしていることがいつまでも見えなかったのだが…

人格の魅力について

私たちは、ある人のある人格について、それを魅力的だと感じることがある。私は、その魅力にはあるパターンがあると前から思っている。私が普段明確に意識している魅力は一つだけだ(他にはないという意味ではない)。それは「ギャップ」である。その人の日…

「なぜ人を殺してはいけないのか」についてのメモその2

条件付きで殺人を認める立場と、全く殺人を認めない立場について、両者を非対称的に捉える記事を以前読んだ。それによれば、条件付きで殺人を認める立場は、自分たちとは違う殺人の条件を持つ他者からの攻撃を不当だと言うことが論理的にはできないのだとい…

『母は娘の人生を支配する――なぜ「母殺し」は難しいのか』

母は娘の人生を支配する なぜ「母殺し」は難しいのか (NHKブックス)作者: 斎藤環出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2008/05/28メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 10人 クリック: 106回この商品を含むブログ (61件) を見る 目的 ?人間の発達過程に興味が…

「なぜ人を殺してはいけないのか?」についてのメモ

条件付きで人を殺してもよい、と考える立場と、人は何があっても絶対に殺してはならない、という2つの立場がある。 条件付き殺人をよいとする者は、ルールを共有していない他者からの攻撃を論理的に不当だと言いうるか、と問うてみる。 私は、そのように問う…

一般大衆にとっての「大きな物語」

え、中流幻想は違うの? 高度経済成長の波に乗って、理想のライフスタイルを実現することが一般大衆にとっての大きな物語だったという理解をしているんだけど。

うらやましいと思ったこと

inumashさんの記事より。 昔、熱心なカソリックの女の子が『この世界は神がお造りになったのよ!だって聖書にそう書いてあるじゃない!』とか言ってた 私もこんな風に言える信仰がほしい。ところで、この女の子のことばは字面上はまったく荒唐無稽に思えるか…

多文化主義内の普遍主義との関係における暴力

現代において、特に自由主義の国では、普遍主義はもはやまったく人気のない考え方だといってよいだろう。普遍の僭称は他者を抑圧する暴力となり、悲劇を呼び起こす、というのがコンセンサスであり、そこまで考えなくても、「おしつけはじゆうがなくていやな…

疑似科学についての断片その2

疑似科学批判をする人の誠実さを認めるということを少し前の記事で書いたが、正確に言うなら、そういう誠実な人も複数いる、ということになる。 しかし、多くのブログ記事で見られるような、批判の域にも達していないような疑似科学批判(というより疑似科学…

原理主義的なキリスト教徒が理科教師を務めることがそれほど難しくないことについて

以下の記事について。 http://d.hatena.ne.jp/eirene/20080625/1214370547 以下、リンク先記事より引用。 現代の学校で教える理科(=自然科学)は、経験主義的な無神論のパラダイムに基づいている。これと創世記の天地創造論を文字通りの意味で信じる態度は…

信じているふり?

大澤真幸の『不可能性の時代』(岩波新書)を読んだ。その中で「信仰の外部委託」という概念が出てくるのだが、この内実がいまいちよく理解できない。 ということは、もっと率直に言ってしまえば、多文化主義の下ではほんとうは(教義を)信じてはいけない、…

疑似科学についての断片

改めて考えてみたら科学への信頼が低下しているというのは、科学であることを標榜する疑似科学が蔓延する根拠にならない。しかし、疑似科学の言う科学は本当の科学ではない、という言い方はできる。それでもそれは科学への信頼とは結び付けられないように思…

ファンタジーについての断片

『指輪物語』の内容については、非常に詳細で壮大な体系の中の物語であることが知られているが、そのような物語が作られたのは、ひとつの単なるお話としてではなく、もっと切実な何かなのではないかという気がする。 なんだかんだと言っても、ファンタジーに…

疑似科学問題の根底にあるものは何か。

私が一つ誤解していたことだが、疑似科学にはまっても実生活上にたいした影響はないと思っていた。その誤解についてはここで詫び、改めたいと思う。しかし、それでも私は、疑似科学批判を行う人たちの誠実さを認めつつも、疑似科学に関する言説にはある無意…

ケノーシスと普遍的価値

ケノーシスについてちょこっと考えたんだけれども、ケノーシスというのは単に身を下げたり弱くなったりすることではないのじゃないか、と思う。というのも、ケノーシスには、彼の者は元来高貴な者である、という意味が含まれているからである。つまり、時間…

『じぶん、この不思議な存在』

じぶん・この不思議な存在 (講談社現代新書)作者: 鷲田清一出版社/メーカー: 講談社発売日: 1996/07/19メディア: 新書購入: 7人 クリック: 166回この商品を含むブログ (73件) を見る 2,3週間前に『じぶん、この不思議な存在』を読み終えたので読書ノートをつ…