『母は娘の人生を支配する――なぜ「母殺し」は難しいのか』

 

母は娘の人生を支配する なぜ「母殺し」は難しいのか (NHKブックス)

母は娘の人生を支配する なぜ「母殺し」は難しいのか (NHKブックス)

目的

?人間の発達過程に興味があり、その理解の一助とする。
?性について興味があり、特定の性別における問題を知ることでその理解の一助とする。
?大学時代の知り合いの女性が摂食障害経験者であり、彼女との会話から母親との葛藤が窺われた。私は二つの事柄に関連性があると見ていたが、その理解が妥当であるのかを検証する。

まとめ

  1. 序章 なぜ「母殺し」は難しいのか

・家族内の問題には様々なレベルがあるが、母-娘関係における問題は、現実に起きたこととして隠しておきたい秘密というよりも、口に出さずに秘めている感情という程度のレベルが問題になりやすい、というのが著者の印象。
・母-娘関係は、他のタイプの親子関係とは特別に異なっていて、他の関係より複雑である。
・「父親」という存在は母親に比べて「人工的」(人間にとって根源的でない?)で、父子関係における問題は単純である。
・『鏡の法則』という本は、構造的には「父殺し」(父親を象徴的な意味で殺したことにして精神的に自立する)の話で、葛藤の相手が父親だったのですっきりカタルシスが得られる本になった。
・母親の存在は娘の内側に深く浸透しているので、母とは対立できず、「母殺し」はできない。しようとするとそれは自傷になる。
・註釈。男性である、女性である、ということにはいかなる生物学的な本質も関係していない(本質はあるけど関係はないという意味?)。性別のらしさはほぼ完全に政治的な問題(ほぼ、ということは少しは違う面もある?)。だから母娘関係に特有の困難は(生物学的性別にかかわらず)あらゆる人間関係に起こりうる。しかし母娘関係の問題は生物学的な母娘関係に最も多く起こる。

  1. 第一章 母と娘は戦っている

 まとめは以降つづく。