人格の魅力について

 私たちは、ある人のある人格について、それを魅力的だと感じることがある。私は、その魅力にはあるパターンがあると前から思っている。私が普段明確に意識している魅力は一つだけだ(他にはないという意味ではない)。それは「ギャップ」である。その人の日常的な振る舞いからは想像できないような性質を持っていると、私たちはその人の人格を魅力的だと感じることが多い。
 卑俗な例で申し訳ないが、たとえば女性の魅力としてよく語られる、「聖女にして娼婦」のようなことばはまさに「ギャップ」による魅力の構造そのものである。もう少し乙女チックなものだと、「気が強そうだけど実は内気で繊細なところが…」などがそうだろう。
 他には、立場の高い人が謙遜な態度をとると賞賛されるのも、高い立場と高みに立った態度を結びつけるイメージが強い中に、ギャップを与えるからだろう。
 こうしてみると、見た目には隠れた別の面、あるいは、立場に付与されたイメージとは別の振る舞い、というところに、魅力の源泉が存在していそうである。
 私たちが魅力を感じる人格に一定のパターンがあるということにはなんらかの意味があるのではないかと思うのだが、今の私には全く分からない。