『Darker Than Black』について

 アニメの『Darker Than Black』(以下DTB)を一通り見終わったので感想を書いてみようか。
 DTBの全体的なテーマは異質な他者との共生である。〈契約者〉と呼ばれる特殊な能力を持った人々がその「異質な他者」として象徴的に表現されており、それに対する一般人やまた〈契約者〉たち自身の態度が主な焦点になっている。
 製作側が念頭においた現実社会の中での「異質な他者」は主に在留外国人だと考えられる。主人公とそのチームのメンバーの呼び名が中国名であることや、また主人公ヘイの住むアパートに住む様々な国籍の住人たちについて、〈契約者〉たちの周辺をめぐる闘争とは関係のないところで触れられていることからそのように推測できる。主人公ヘイも表向きは中国からの留学生ということになっているが全体的な関連から言ってその設定は意味があると分かる。
 作品のラストで、〈契約者〉を地球上から消し去る作戦が失敗した後に、刑事霧原の独白の中で、〈契約者〉がらみの犯罪が後を絶たないことが語られる。〈契約者〉の能力、つまり〈契約者〉を〈契約者〉足らしめる特性だが、それは人を殺したり傷つけることに結びつくものが多い。つまり〈契約者〉は危険のリスクを感じさせやすく、しかも実際に事を起こす者が多くいる。そういう攻撃の口実をつくりやすいにもかかわらず、それでもともに生きていくべきだ、というのがこの作品の結論だった。以上、概要をまとめてみた。
〈契約者〉、〈ドール〉というそれぞれのアイディアについても面白そうなので、機会があれば考察してみよう。