日常生活

 大学時代の友人から電話があった。なんでも就職が決まらず、焦ってさらにいい加減な就職活動をしてやはり決まらない、という悪循環に陥っているらしい。この不況下、やはり就職を控えた学生は大変らしい。
 ところで、学校教育で教えられている仕事というのは、少なくとも私の頃は、自分のやりたいこととか、夢とか、要するに自己実現になるものとしての仕事というイメージを強く植えつけるようなものとなっている。最近は、そういう教育の仕方は弊害が大きいのではないかと思っている。実際にはそんな風にして自己実現としての仕事をするというのは容易なことではないからだ。自己実現になりそうな仕事につける人数は限られたものだろうし、そもそも「本当にやりたいこと」なんて本当にあるのか、単に動機の語彙を後付しているだけではないのかと思える。
 確かに自分の好きなことが仕事になるのは楽しいことだと思うし、私も転職するならもうちょっと楽しんで働ける仕事がいいなあと思うが、それはできるだけそうであってほしいという程度のものだ。仕事に対する過剰な意味づけというのはなんだか不気味である。「ただ金を稼いで人並みに生活するための仕事」というあり方はどうも不可解なものとして捉えられることが多いようだ。不可解だ。